伊達家の家紋は?と言われてすぐに思いつくのは、竹に雀の家紋ではないでしょうか?
伊達政宗といえば、竹に雀の家紋を思いだします。
しかし、実は伊達家には他にも家紋があるのです。
これは、伊達家に関連する建物を見ればすぐにわかります。
例えば、伊達政宗が建立した神社の大崎八幡宮。
国宝にも指定されている、大崎八幡宮の本殿には、菊紋、桐紋、三つ引両紋といった家紋がついています。
菊紋や桐紋は天皇家や豊臣家の家紋です。
伊達政宗のお墓、瑞鳳殿にも同じように、数多くの家紋がついています。
伊達家の家紋の数はなんと8種類もあるのです。
家紋なんて一家にひとつあれば十分こと足りるはずです。
せいぜい、多くて、ふたつぐらいでよいのではないでしょうか。
現代では、複数の家紋を持つことに合理性がないと感じます。
武士だから、大名だから、家紋の数が多いのかと思えば、実はそうでもないのです。
伊達家の家紋の数は、大名の中で一番、多いのです。他の大名は八つも家紋を持っていません。
でもでは何故、伊達家の家紋はこんなに数が多いのでしょうか。
それはまず、家紋に対する昔の風習が影響しています。
家紋というものは昔、天皇や将軍から下賜(かし)されるものでした。
伊達家の家紋の理由
戦の功績によって貰うこともあったのです。武功を上げた者に与えられることがありました。
手柄を立てれば立てるほど、家紋が増えるのです。
一種のステイタスだと思うと、わかりやすいかもしれません。
功績をあげた人ほど家紋の数が多くなります。
そしてもう一つ。
結婚の際に相手の家紋をもらうこともありました。
親戚になるのですから、不自然なことではありません。
伊達家の場合は、竹に雀の家紋が、それに該当します。
竹に雀の家紋は、上杉家からもらったものです。昔、伊達家と上杉家には縁談話しがありました。
その際に、上杉家から竹に雀の家紋をもらっています。しかし、その縁談は破断になっています。
破断になったのですが、伊達家は、その家紋を返さず、そのまま、使い続けたそうです。
デザインは伊達家として、多少アレンジして使っていますので、上杉家の竹に雀と、伊達家の竹に雀ではデザインが若干異なります。
現代は家紋をそれほど重要視していませんが、昔は大名にとっても、武士にとってもステイタスだったのです。
伊達家の家紋の意味
三引両紋(みつびきりょうもん)
伊達家が代々使っている家紋です。
伊達家の家紋の中で、一番古い家紋がこの三引両紋という家紋になります。
伊達政宗よりも、ずっと以前から使われていました。
そしてこの家紋は、仙台市の紋章のデザインベースになっている家紋です。
伊達朝宗(ともむね)が、源頼朝(みなもとのよりとも)から下賜された紋を、アレンジした紋です。
伊達朝宗は、伊達家の初代当主です。朝宗から伊達を名乗るようになりました。
伊達の姓を名乗る前は藤原の姓を名乗っていました。
伊達の名字の由来は、武功をあげ、福島県伊達郡をもらいました。
福島の伊達地区を拠点としていた武将ですので、伊達という姓を名乗りはじめました。
竹に雀紋(たけにすずめもん)
上杉家からもらった紋をアレンジして使っています。この紋には2羽の雀が描かれていますが、この2羽の雀の口をよく見てみると、阿吽になっています。竹に雀紋は、阿吽の雀が描かれている紋なのです。
竹に雀は、伊達家の定番の家紋です。伊達家から連想する家紋は、この家紋ではないでしょうか。
伊達家の竹に雀紋は別名を仙台笹といいます。
実は、竹に雀紋は、ちゃんと商標登録がされています。
類似デザインであっても、使用許可が必要となっていますので、伊達家の許可なく、竹に雀家紋を使うことはできません。
牡丹文(ほたんもん)
伊達綱村が、1680年に近衛家からもらった家紋です。
近衛家とは公家です。
1680年にもらったものですので、残念ながら、この家紋は、政宗の時代には、伊達家の家紋として存在おらず、政宗が使っていたという家紋ではありません。
政宗は1637年に亡くなっています。
蟹牡丹紋(かにぼたんもん)
ベースとなっているデザインは牡丹紋です。
伊達吉村が牡丹紋のデザインをベースに蟹牡丹紋としてアレンジしました。
よく見ると、蟹のデザインになっています。
伊達吉村の時代の家紋ですので、この家紋も、政宗の時代には、伊達家の家紋として存在していませんでした。
菊紋(きくもん)
天皇家から豊臣秀吉に与えられ、そして伊達政宗が秀吉からもらった家紋です。
菊の紋は天皇家の紋として、今も使われている、超有名な家紋ですが、伊達家もこの紋を使っています。
桐紋(きりもん)
菊紋と同様、天皇家から豊臣秀吉に与えられ、そして伊達政宗が秀吉からもらった家紋です。
この紋も有名な紋です。秀吉のイメージが強い紋です。
九曜紋(くようもん)
伊達政宗が細川家からもらった家紋です。九曜紋は、伊達家に関係する、寺社仏閣でたくさん見ることができます。瓦についていることが多い家紋です。
雪薄紋(ゆきすすきもん)
政宗の時代から使用されはじめた、ということしかわからない家紋です。
誰からもらったものなのか、その詳細は不明です。
伊達家代々の家紋ではないことだけは、わかっているのですが、それ以外はわからない紋です。
伊達政宗のお墓の瑞鳳殿の隣に、瑞宝寺というお寺があります。このお寺でみることができる家紋です。
一節には、伊達家のお姫様が使っていた紋だと言われていますが、正否は不明です。
商標登録されている家紋
伊達家の家紋の中でも、竹に雀の紋章は、商標登録されています。
商標登録されているということは、商標登録者の許可なく、勝手に使うことができないということです。
一見、なんで商標登録なんてするのだろう、と思うかもしれません。
そもそもこの紋章は、上杉家から貰ったものなのに、と思ったのではないでしょうか。
商標登録には、ちゃんと合理的な理由があります。それは、伊達家がアレンジしたデザインだからです。上杉家から貰った家紋をそのままのデザインで使っているのではありません。
伊達流にデザインをかえて、オリジナルの家紋にしています。
上杉家の家紋と似ているけど、違うのが、伊達家の竹に雀です。別名、仙台笹と言います。
でなければ、商標登録がされているということは、独自のものだと認められたわけですから。
紋章と家紋
紋章と家紋は同じ意味です。個人や家系や組織を特定できるマークが紋章です。
家紋は、家系を特定するためのマークです。
伊達家のように、8つの紋章を持っていて、そして更に、そのひとつひとつに、誰から貰ったものなのかと?という出所が明確になっていますので、家系を知ることができます。
紋章と家紋は同じです。